après shampooing
7月になっていた。とはいえ、まだ梅雨の最中か、ここのところ毎日雨である。
低気圧、どんより曇り空はうつ病、気象病持ちの身には甚だしんどい。
日々、眠気とやる気のなさと地球の反対側まで到達しそうなこころの深掘りとの闘い。
この頃は、もう闘っても仕方ない、うまく付き合いやり過ごすことにしている。
子育ても終わり、さらに全世界的なコロナ禍Stay Home推奨となって、そうできるなら家にいる方が良い状況、ぽかーんと雨模様を眺める自分も受け入れよう、と。
受け入れたら、楽になる。
そう、梅雨時は多い、硬い、太い、くせっ毛という四重苦の髪がさらに暴走して暴れまくり、とんでもないことになる時期。若い頃はさらさらヘアに憧れてなんでもやったけれど勝ち目なく、今は自然に出るうねりやくるりんカールを活かしたスタイルに。これも、受け入れたら楽になるのである。
とはいえ、受け入れすぎてこのまま何もせずにぽかーんとしていては一度バグった脳みそが本当にダメになってしまいそうなので、ぽかーんなりのレベルとはいえ、チュニジアの公用語の一つであるフランス語の勉強を日課としている。
(もう一つのチュニジアの公用語はアラビア語。言語問題については追い追い記述予定。)
しかし。50もとっくの昔に過ぎた上に一度バグってシャットダウンした脳にフランス語はかなりハードル高く、毎日 涙目とため息。寿命が尽きるのと、ちょっとは使えるようになるのと、どちらが早いか、という焦りも抱えつつ、今日もせっせと辞書引きながら、思い出すのは
トゥジェンでのできごと。
チュニジアでは外国人にはフランス語で話しかけられるし、意図的にフランス語しか話さないチュニジア人もいるくらい、ステータスを表すものともなっていてもうフランス語当たり前、さすが公用語である。しかし、そんな都会と違って、トゥジェンではフランス統治時代に生まれ育ったような高齢の方や、仕事上必要な方以外はフランス語は使われていないようである。ホストファミリー宅近辺ではまず耳にしたことがない。トゥジェンでの公用語は、アラビア語チュニジア方言の、さらに南部訛り方言である。
しかし、アラビア語チュニジア方言:チュニジア語は元宗主国の言語フランス語をそのまま取り込んでいることも多く、たとえば シャワー=ドゥシュ douche、フォーク=フルシェット fourchette etc etc ・・・枚挙にいとまがない。
トゥジェンでも話し言葉にはごく普通にフランス語が混じるが、文字情報となると、話は全く変わってしまう。男性はまた別として、私がともに過ごす時間も長く関わりが深くなるのはキリムを織る女性たち。一家を切り盛りし、キリムも織れる年代の30代初めくらいから上の世代は、あまり教育が十分とはいえない人も多く、40代半ばでも学校に行っていないという人もいた。今や姉妹か娘か親友か、のファミリーの中心的存在のアジザは、小学校を3年だけ行ったが、つまらない、家にいる方が好き、だからやめた、という話である。
まだフランスご習い始める前であったろう。(習ってはいるが普段使わないので定着度は
どの程度か、人のこと言えないが)
なので彼女はアルファベットは不得手、いくつかの文字単体を読める程度のようだ。
話しているアラビア語:チュニジア語も、文字にしてもらうときはちょっと怪しかったりする。
とは言え、学校教育は少なくても、私なんぞよりよっぽどたくましく生きる力と術を持つアジザたち、チュニジアの女性たち。21世紀に到るまで、文字情報なしでも、ずっと立派にやってきたのだ。
その生活の知恵や生活全般切り盛りする能力は本当に尊敬に値する。
しかし、近代化の波はここトゥジェンにも押し寄せ、『情報』とモノも流れ込んでくる。テレビではさまざまな商品をキラキラと宣伝しているので、洗濯にはこれこれの洗剤、ヨーグルトはどこそこのメーカーの、体洗うのもそんなに頻繁でない生活なのに、シャワーするとなったら◯◯のシャンプー、なんてことが生活に入り込んできている。
ある時、トゥジェン滞在も5日越えたあたりで限界がきて、体はともかく頭洗わせてください、と頼み込み、ドゥシュ、ミセールシ!!!=OK、大丈夫!とお許しいただいて、
久々に浴びるお湯の気持ちよさに打ちふるえつつ、これ使えと言われた、シャンプーで髪を洗おうとしたのだが・・・どうにも泡が立たない。さらに、なんだかシャンプーとは違う感触、香り。でもどこかで知っているような・・・おっかしいな、シャンプーと言われたけどこれはどちらかというと リンスでは????
訝しみながらもとりあえず、ママが目を光らせている節水節ガスの方が気になって、とにかく湯シャンでもなんでも洗えればオッケー ミセールシ!と手早く済ませ、落ち着いてから改めてそのボトルをよーく見てみると、shampooing:シャンポワン シャンプーの左横、いわば前に après の文字が・・・
shampooingの前に書いてあるが après は〜の後、という意味なので シャンプーの後、つまりはリンス:コンディショナーである。
やっぱりかー、と思いつつ、一応、スマホでaprès shampooingの訳を確かめて(まだそんなレベルだった)アジザに これ、シャンプーじゃなくてリンスだよ、と言うと、え?それシャンプーでしょ、いつもそれで洗ってる。リンスって何?という反応。
何でどうやって得たのかわからないが、髪を洗うにはシャンポワンというものが良い、と知り、近くのハヌート(いわばよろず屋さん)で買ってきたのであろうか、多分アジザではなく、買い物を請け負う兄弟の誰かが。(基本、買い物は男性のすることなのである)
日本でも、シャンプーとリンスとそっくりで間違えて買うということはままあるのだが、
知らぬがなんとやら、リンスをシャンプーと思い込んでそれを家族全員使っていたのである。
après shampooing という文字が表すフランス語、その意味するところが読み取れなかったが故に。
でも、それがシャンプーだと思って使っていたのだから、それはそれでミセールシ!
というべきなのか。 これも受け入れる、ということになるのだろうか・・・
翌日、アジザは一緒にハヌートに行ってくれ(未婚女性一人では行けない、現地の慣習)、と言い、シャンプーかリンスかを私に確認させ、 après のない、shampooing とだけ書かれたボトル、なんとその時のハヌートの在庫4本を買い占めた。自分じゃわからない、一緒に見てくれる人がいるうちに、と。
その後は、行くたびに shampooing かどうか、確認している。私としては、après shampooing も必要、と力説するのだが、彼女たちにはその必要性はないらしい。用意がないので、今度は私が après shampooingをハヌートへ買いに行く、というオチがついた。
日々シャンプーするたびに(つまりはほぼ毎日に近い)思い出すできごと。
旅はまだ始まったばかり。
*このエピソードには恐ろしく根が深いいろいろな『問題』が内在している。
書けばキリなく、長文化。
それぞれ、今後少しづつ書いていこうとと思う。
*フランス語、チュニジア語のカタカナ表記については不適切な点もあろうかと思うが、正確な発音は再現しづらいので、そう聞こえる、という形で表してることをお許し願いたい。
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