クルッシャイ ムリーぐル!〜すべてうまくいっています。

チュニジアのキリム に魅せられ、「ただの主婦」からライフシフトしてなぜこんなところでそんなこと?的 目が点腰抜け半移住チュニジア生活のお話。

洗面器後頭部直撃事件。

洗濯とかシャンプーとか、水つながりのネタが続いているが、思えば、そのあたりの出来事を取りまとめている、というか、拠点となっているのは日本で言えば洗面所、とかお風呂場、という言葉で表される「一室」である。

チュニジアにこの言葉が当てはまるかどうか、適切なのかどうかはわからないが、日本で言うところの『欧米化』とか『洋風』化された生活様式の家、都会の住宅の作りだと、

・トイレは洋式

・たとえ洗濯機を置き場、防水パンのようなものがあるだけと言えども、シャワーを浴びる場所ははトイレ内に

 

といった感じで、そのレベルは数々あれども、今までチュニジア国内で目にしてきた住宅内のバス・トイレ事情は、おしなべてユニットバス形式であった。都会では。

 

これがトゥジェンとなると話は別。古い家だと、台所も別棟で水道、洗い場:シンクなしもまだまだ普通。トイレも別棟、チュニジアの昔ながらのスタイルに『和式』というのは当てはまらないのだけれど、わかりやすく言えば『和式』である。足の置き場と、穴が空いた陶器製の『トイレ』が地面に埋め込まれている。ある意味、水洗で、バケツや桶などに入れた水が置いてあるタイプ。裸電球あればいい方である。昭和40年代に育った私でもなかなかこの状態への復帰はきつい。

 

チュニスの観光会社で働き、仕事柄チュニジア各地のホテルに泊まることの多い、7人兄弟の末息子の薫陶で、トゥジェンのホストファミリー宅は近辺では稀な、洗面台、洋式トイレ、立派な浴槽&シャワーの三点セットの揃った『洗面所』がある。たまーに出動する洗濯機も普段はそこに、洗面台とトイレの隙間に押し込まれている。

私たちがその場所を指していう時には、シャワー:ドウシュか、トイレ:トワレットと言う。『洗面所』に当たるチュニジア語があるのかどうかは、今現在の私の力ではわかっていない。

いかんせん、洗面、とか歯磨き、とか、我々が洗面所、洗面台周りで日々行うこと、それがトゥジェンの生活には組み込まれていない。

 

『ある』のと『使える』のが別の話なのがここチュニジア。2014年11月に、初めてトゥジェンにホームステイをした時、キッチンはともかく、その洗面所はまだ増築されて間もない頃だったようで、あるにはあったのだが、洗面台など設備は置いてあるだけ、と言う感じで工事中断されたまま、浴槽内はヤギの餌の草やらなんやら、物置になっていて、使える状態ではなかった。

 

チュニジアではよくある話で、いろんな建設工事でもなんでも、日が高く昇って暑くなる前に、朝早くから仕事始めているけれど、せいぜい午後2時とか3時には誰もいなくなっていたり、かなりのんびりムード。材料が手に入らないとか、お金が続かなくて中断、も当たり前で、建ててるんだか壊してるんだかわからない状態のものがいっぱいある。

トゥジェンあたりでは工法もいたってプリミティヴ、ヘルメットも何もありゃしない。

 

隣の家では、増築?らしき工事が細々と、延々と続けられ、半年近く間が空いて行ってみても、似たような場所をまだやってる!と思ったのが2回ぐらい、完成したようには見えないが、最近どうも終わったという話。

あのあたりでは雇用もそうそうないので建築仕事につく男性の割合が高く、親族で頼み合っていたり、自分でやる、と言うこともよくある。我がファミリー宅のドウシュも、いわば不要不急の工事は後回し、この地に在住の3人の息子の都合が良い時にちょこちょこやったりしていたのかもしれないし、それで何にも困ることはなかった。

 

しかし、突然、E,T外国人がやってきて、寝泊り滞在、オセワニナリマス となったのだからさぁ大変。そのE.T、食事や睡眠はなんでもOKで楽しく暮らせていたのだが、5日も経った頃、切羽詰まった様子で カオ アライタイ、ハミガキシタイ、アタマカユイ!カミアライタイデス、オネガイシマス とか言うではないか。

 

*この時の、トゥジェン初滞在での初洗顔等の様子については、また改めて書く。

あの光景はまだうまく言葉にしてまとめることができない。

 

それが2014年11月のこと。郷に行っては郷に従え、なんとシャワーどころか、洗面、歯磨きも5日間も我慢していたのである。

今から思えばE.T気が弱すぎ、郷に入りすぎ、遠慮しすぎだったのかも知れないが、彼の地は本当にそんな習慣皆無の、別惑星のような状態だったのだ。

とは言え、年に1−2回はトゥジェン滞在したい私と、いろいろやらかすから面白かったのか、ありがたくもE.Tまた来てね、というファミリーとの思いが一致して、2015年3月には再びトゥジェンを訪れることとなり、忘れ去られて物置と化していた洗面所:ドウシュを必要とするE.Tの再来に向けて大急ぎで工事が再開され、見事完成。近代3種、やっと『使える』状態となったのである。

 

しかし。何事も7割8割のところで『これでいいのだ ミセールシ!:大丈夫』で終わってっしまうおおらかなお国柄、洗面台の上にせっかく開けられた窓、はめ殺しのガラス&枠のサイズが合わない、という理由(そんなことが起こる)で取り付けられずにポッカリ空いたまま。合わない部品は浴槽の淵に放置プレイで、代わりにたまたまピッタリだったというシンデレラな『洗面器』、というか、いろいろ使いまわせる青い四角いタライ状のものが窓ガラスがわりにはめられていた。その発想というか、臨機応変さというか、たくましさには本当に感心する。

(ちなみに、写真にあるように洗面所のドアを勢いよく開けるとトイレに激突してしまうので、あのドアはそっと、65%くらいしか開けられない。それでもミセールシである、出入りできるのだから問題ない。)

 

しかし。事件は起こった。

ここトゥジェンは地形的なものなのか、常日頃から風が強いことが多い。

その日も朝から風が強かったのだろうか、その記憶はないのだが、ある朝のルーティン中。

真上の窓から、件のガラスがわりにはめられていた洗面器が、うつむいてじゃぶじゃぶ洗顔料を流す私の後頭部めがけ、風に押されたのか突然落下、ごぃーんと直撃したのである。

もはや、昭和のテレビのコントである。

いや、それさ、ネタでしょ、と思われるかもしれないが、本当の話。

 

『痛!!!』思わず日本語出る。私の後頭部でバウンドした洗面器は床に派手な音を立てて転がり、アジザが何ごとかとすっ飛んできた。説明する言葉はなくとも、床に転がった洗面器見れば事情は察せる。こうしてたらばね、と事の次第を再現してみせると、アジザは ムスキーナ:かわいそうにと私の頭を撫でながら大爆笑。

そしてまたその青い四角い洗面器は窓に戻された。かなりグイグイ押し込み、『ミセールシ!』:これで大丈夫!って・・・そ、そうじゃないんだけどね、何事も根本的な解決を望む、と思いつつ、郷に入っては郷に従え、である。けががなくてよかった。

 

実は最近知ったのだが、泊めている外国人が何か被害にあったりケガ、病気になったりすると、その家の代表者が逮捕される、という驚きの仕組みになっているので、家族たちは何事もないよう、かなり気を遣っていたのである。(そのあたりはまた改めて書く。)

 なので、E.Tの頭を洗面器直撃、さすがにこれはいかん、逮捕されてはかなわない、と思ったのか、その次の訪問時にはきちんと洗面台の上の窓にガラスがつけられ、洗面器は本来の役目に復帰。

前回の記事の写真、稼働中の洗濯機の横に写っている。『あの時はよくも・・・』などと思いつつ、手洗い洗濯に活躍してもらっている。

 

旅はまだまだ続く。

 

 

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立派なドウシュ。扉開けたら右手にトイレ、正面に洗面台。

 

 

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洗面台。この上に窓がある。

 

 

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青い四角い洗面器がはまっている。

 

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サイズが合わぬ、で放置のはめ殺し窓ガラス。



 

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